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2015/11/21 土地の取得時効 その2
土地の取得時効 その2 では、実際の手続きを説明しましょう。
甲さんは、あくまで乙さん所有の2番の一部(10㎡)について取得時効が
成立しました。乙さんはそれを認めなかったけれど、10㎡について判決で
取得時効が認められました。つまり甲さんは2番の一部を取得したのですか
ら2番のうち取得した範囲を分筆し、その部分の所有権を移転する手続きを
取ります。

具体的に説明すると、2番の土地をイーローB-Aーイで囲まれた10㎡と、
それ以外の40㎡とを分筆します。分筆登記の申請適格者はその土地の所有
者ですが、この場合、乙さんが甲さんの為に積極的に分筆登記を申請するこ
とは考えにくい。
そこで、こういうケースでは判決文を添付して、甲さんが乙さんに代位して
分筆登記を申請します。分筆登記が完了した時点では、2番1も2番2も乙
さん所有名義です。分筆登記後、2番2については、判決に基づいて登記名
義を乙名義から甲名義に変更する登記(これを所有権移転登記といいます)
を行います。
これが、取得時効成立の場合の登記手続きです。

ただ、ここで問題があります。
土地を分筆登記をする場合、その分筆しようとする土地の周囲の筆界が全て
確定されていなければなりません。左イラストの例で2番の東隣および北隣、
そして2番と道路との境界が全て確定されていなければ、分筆ができないの
です。以前は、残地処理という方法があったのですが、現在では判決文を添
付した分筆登記であっても周囲全ての筆界確定は必須です。

つまりは、取得時効の要件を満たし、さら
にそれを認める判決を勝ち取ったとしても、
ただちに登記上土地所有者となることがで
きないケースは多くあるのです!!
2015/11/18 土地の取得時効
土地の取得時効 最近、立て続けに「土地の取得時効」について、質問を受けたり取得時効に関連した
依頼を受けたりしました。民法には、土地を一定機関、一定の要件を満たして占有す
るとその土地が占有者のものになる、との規定があります。

(所有権の取得時効)
民法 第百六十二条
1. 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した
   者は、その所有権を取得する。

2.  十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者
   は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、そ
    の所有権を取得する。

この条文だけを読むと、「長年の無断占有で他人の土地を取得できる」と読めます。
ですから、162条の要件を満たす占有をすれば、あとは法務局の窓口に出向き、
その事実を申し出るだけで、自己の名義に書き換えてもらえる。そんな思い違いを
する人も出現します。事実、条文通り土地の事項取得は可能は可能です。しかし実
際には、それほど簡単には取得時効は成立しません。特に隣接する土地に長年越境
の事実があるとしても、越境部分を自己の土地とし、登記名義も自己の名義とする
ことは、意外なほどにハードルが高い。


現在、受託している事案のひとつですが、デフォルメして説明しましょう。
甲さんは1番を所有していて、乙さんは2番を所有しています。甲さんは乙さん所
有の2番の一部(1m×10メートル=10㎡)を長年占有し民法162条の要件
を満たしました。甲さんは占有しているAーB線までを自己の土地であるとして、
乙さんに申し出ましたが、乙さんは「はいはい、AーB線まで甲さんのものですよ」
とは言わなかった。
この場合、甲さんは乙さんに対し、AーB線まで甲所有であることを認めさせる裁
判を起し勝訴しなければ、取得時効は成立しません。いくら162条の要件を満た
していても、乙さんが認めなければ結局は裁判で争うことになるのです。占有範囲
が狭い場合、弁護士報酬を含めた司法解決(裁判、調停)費用のほうが高額になる
ケースは多い。
受託中の事案は、それでも甲さんが乙さんを相手に裁判を起こし、2年半の歳月を
かけて勝訴しました。つまりAーB線まで甲所有であることが、判決で認められた
のです。では、このケースで登記上AーB線まで甲所有とする手続きは、どのよう
なものかご存知でしょうか。

「1番の土地50㎡が60㎡となり、2番の土地50㎡が40㎡になる。」

多くの人がそう考えるようですが、それは間違いです!
2015/10/28 天理大学付属天理図書館
天理大学付属天理図書館 天理大学付属天理図書館。その名の通りあの天理大学の図書館です。
この図書館は、かなりの古文書類を保管しているということを以前から聞いていま
した。

現在私は、奈良県の郊外都市で土地係争の裁判に関わっているのですが、あまりに
資料が乏しく、争いが漂流しそうな状況でした。ふと『天理図書館だったら、何ら
かの資料があるかも・・・』。そう思い立ち、ネットで天理図書館を調べ、電話で
問い合わせてみると、役立ちそうな資料があるようなので、閲覧申請をしてみまし
た。
天理図書館から閲覧許可なるものが下りたので、実際に出向きました。閲覧を許さ
れた資料は、係争中の土地境界に関して、すこぶる役立つ資料だったので、大喜び
でその資料の複写願を提出しました。そうしたところ、先日その資料の複写が私の
元に届きました。

大変に助かりました。大変に。 しかし、私が天理図書館に最初に電話で問い合わ
せたのは、本年7月初め。資料の複写が私の元に届いたのは10月15日です。天
理図書館が大事に大事に保管する貴重な貴重な資料の数々を閲覧できたり、複写を
入手できることのは、とてもありがたいことです。
しかし、閲覧申請書を提出してから閲覧許可までが1ヶ月以上かかり、資料の複写
は外注の業者が行うのですが、これまた複写が届くまでさらに約2ヶ月もかかって
しまうシステムは、何とか改善できないものなのか、と思ってしましまいました。
その間も容赦なく裁判日程は進み、この夏は胃の痛い日々を過ごしました。

天理図書館の職員さんの対応は、全てにおいて親切丁寧そのものでした。複写資料
と一緒に届いた外注業者さんの請求書の金額は、2,090円です。金額だけ見る
と少々高いですが、それは見事に鮮明なカラー複写。
天理図書館の対応には何らの文句もありません。手数料も高いとは思いません。た
だ手続き日数についてはなんとか短縮できないものか。。。。
2015/10/10 名城 丸亀城 その2
名城 丸亀城 その2 各地の城址地には、かつての城下町があり、そこは官庁街になっている場合が多い。
ココ丸亀城の周辺にも武家屋敷跡地に法務局がありました。
立ち寄って、丸亀城の公図を取得しました。 公図(更正図)が全国一斉に作成さ
れたのは明治の中期頃。必ずしも測量技術者が作成したものではないとされます。
実際ダンゴ図と呼ばれる精度を伴わない公図も多く世に多く見られる反面、時とし
てその精巧さに驚かされる事もある。

丸亀城の空中写真と公図とを上下に対比させました。
全体の形状として、ほぼ正確といえるでしょう。また堀の南西部分(画面左下部分)
は微妙に湾曲しているのですが、なかなか精度で描かれています。この公図は一定
の測量技術を有する者が、日数をかけて測量し図面作成したものでしょう。

ところで、この公図には地番が描かれていません。地番がないのですから丸亀城址
地には土地台帳もなければ登記情報も一切ありません。元々公図は法務局備え付け
のものではなく税務署の台帳付属地図として備えられているものでした。
地租(現在で言う固定資産税)を徴収しない丸亀城址地をなぜ当時の技術者が手間
をかけて公図を作る必要があったのか?

ココにも摩訶不思議がありました。