こういったお悩みはありませんか?
- 境界紛争が激化して納まりがつかない…。
- 裁判をせずに境界紛争を解決したい…。
- 境界の位置を示せる公的な証拠がほしい!
- 隣人が境界を決める立会いに応じてくれない…。
筆界特定制度とは、筆界特定登記官が外部の専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、境界の位置を特定する制度です。申請をすれば、公的な判
断として筆界を特定できます。
この筆界調査委員の任命を受ける専門家のひとりが、土地家屋調査士です。
筆界特定制度の必要性
筆界特定制度は、境界確定訴訟という裁判に代わって発足した制度です。
そのため、比較的に裁判をするよりも短期での解決が期待できます。
では、具体的にどのような制度なのか、図を用いてご説明しましょう。
なお、この制度では、土地の境界線のことを「筆界」と呼びます。
筆界特定制度を利用する一例
筆界を特定するには、周囲の土地所有者との立会いが必要です。
一般的に土地の面積は登記簿に記載されていますが、6番の土地では法務局に正確な図面が備えられていません。そうすると、実際に測量(実測)しないと、正確な面積はわかりません。
実測をして面積を出すには、まず地番と地番の筆界線(境界線)を確定する必要があります。
6番の土地を実測したい山田さんは、周囲の5番7番20番21番の土地所有者および道路の土地
所有者と筆界線の立会い、協議を行った上で6番の正確な面積を出すこととなります。
山田さんは、7番20番21番および道路の各土地所有者とは筆界の立会いができたものの、5番
の土地所有者である田中さんとは筆界線の認識が違っていました。
筆界特定制度です。
筆界特定制度のメリットとデメリット
これまで、裁判でしか境界認識の不一致を解決できませんでした。裁判では弁護士を立てて争いますが、筆界特定制度だと争う必要はありません。
その上で、土地家屋調査士から見た、制度のメリットでデメリットを挙げます。
- 法務局内の資料は隈なく活用できる
- 裁判よりも短期で決着が望める
- 裁判をしないので弁護士報酬が必要ない
- 原告・被告といった対立構造にならないので、
人間関係の悪影響が少ない
- 筆界特定結果に不服がある場合、
一から境界確定訴訟をしなければならない - 申請人からすると費用は一概に安いと言えない
- 所有権に関する筆界線には関与しない
- 最終的に特定される筆界が線でなく、範囲の場合もある
筆界特定制度の流れ
では、具体的にどのような流れで筆界特定制度は進むのでしょ
うか?
6番の所有者である山田さんは、田中さんと筆界認識が不一致と
なった6番と5番の筆界線について法務局に「筆界特定申請」を
します。
- 「申請の趣旨」および
「筆界特定を必要とする理由」を申請書に記載する - 上記の記載がないと、申請は却下される
- 制度が定める手数料を印紙で納付しなければならない
※本人が申請することもできます
筆界特定制度の申請後の名称
6番と5番の土地:対象土地
6番(申請地):対象甲地
5番(相手方):対象乙地
21番と道路:関係土地
山田さん:申請人
田中さん:関係人
当該筆界を特定するために参考となる人:参考人
なお、山田さんから筆界特定の申請があったからといって、この制度において関係人である田中さんが不利な扱いを受けることはありません。
申請人同様に筆界について意見を述べる機会が与えられ、図面や資料、意見書の提出も保証されています。
筆界特定制度申請後
筆界特定登記官が作業を開始
筆界特定の申請は、法務局内の筆界特定登記官が受理します。筆界特定登記官は、法務局内をはじめ、市役所や県庁、区画整理事務所など、関係機関から当該筆界を特定するために必要な資料を集めます。
筆界調査委員を任命
筆界特定登記官は、当該申請の筆界特定の事実調査をする筆界調査委員
を選任します。筆界調査委員は、あらかじめ法務局長から筆界の専門的
知識を有するものとして認められている民間人で、多くの土地家屋調査
士が任命されています。
- 対象土地や関係土地、その他の土地の測量および実地調査
- 申請人や関係人をはじめとする筆界の事実の聴取
- 申請人や関係人らから筆界に関する資料
測量実施者による測量
筆界特定登記官および筆界調査委員が現地の測量が必要だと判断すれば、測量の技術を持つ者に測量を
実施させ、その成果を資料とします。筆界調査委員自身が測量する場合もあります。なお、この測量費
用は申請人が負担しなければならず、測量実施前に予納しなければ、申請が却下されるのでご注意くだ
さい。
筆界特定登記官による意見聴取
筆界特定登記官は、申請から筆界特定までの間に、申請人や関係人に対し
て筆界に関する意見や資料の提出をする機会(意見聴取)を設けなければ
なりません。
意見聴取での陳述などの要旨は、調書を作成して明らかにします。
申請人や関係人は手続きをすれば、筆界が特定されるまでの間、この調書
や資料を閲覧することができます。
筆界調査委員の意見の提出
筆界調査委員は、意見聴取や事実調査が終了すれば、筆界特定登記官に筆
界特定についての意見を提出しなければなりません。
この意見は、通常「意見書」としてまとめられます。
筆界特定の通知と公告
- 筆界調査委員の意見
- 法務局内外の資料
- 対象土地や関係土地の状況(地形・地目・面積)
- 工作物や囲障、境界標識の有無
以上のような総合的な見地から、筆界特定登記官は当該申請の筆界を特定
します。そして、特定した旨を公告するとともに、申請人や関係人にも通
知します。
この制度では、係争範囲内の意見のどちらかを採用したり、意見と意見を折衷したりすることはありません。
最終的に筆界特定登記官が特定する筆界線が、申請人・関係人の意見の範囲外で決められる場合もあります。
筆界特定の結果が不服だった場合
筆界特定登記官が定めた筆界に不服であれば、司法(裁判所)で解決を図ることとなります。
その場合に行うのは、筆界特定登記官を相手取る訴訟ではなく、山田さんと田中さんが原告と被告に分かれる、境界確定訴訟です。
筆界特定制度の詳細
筆界特定制度に関する詳細を知りたい方は、以下のページも参考にしてみてください。
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筆界特定制度は、「純粋に筆界を探し出して特定する」制度です。なかなか馴染みのない制度
であるため、わからないことが多々あるかもしれません。
吉田登記測量事務所では、筆界特定制度の申請の代理はもちろん、事前のご相談も受け付けて
おります。
豊富な知識からお答えしますので、最善の解決策を一緒に探しましょう。